腸の健康(詳細)

English

腸の健康 (概要)

要約

  • 腸内細菌叢とは、消化管、主に大腸に生息する微生物の集合体を指す。(詳細はこちら) 
  • 腸内細菌叢の獲得は出生時に始まり、その群集構造は幼児期を通じて発達と多様化を続け、10代で安定する。(詳細はこちら) 
  • 成人の腸内細菌叢の中心的な構成はかなり安定しているが、食生活の選択、いくつかの薬(特に抗生物質)の使用、その他の生活習慣によって、個々の種の存在量や生成される代謝産物に影響を与えることができる。(詳細はこちら) 
  • 大腸に到達する基質を反映して、腸内細菌は、大腸内および他の器官系において宿主の健康に影響を及ぼす多種多様な低分子化合物を生成する。(詳細はこちら) 
  • 大腸内では、水溶性食物繊維の微生物発酵により、低酸素濃度かつ低pHの環境が形成され、病原性細菌(有害な通性嫌気性細菌)よりも常在菌(有益な偏性嫌気性細菌)の増殖が促進される。これは保護粘液層の健全性を維持するのに役立っている。(詳細はこちら) 
  • プロバイオティクス・プレバイオティクス・ポストバイオティクスは健康に有益であり、腸内細菌叢に影響を与えることができる。 しかし、これらのサプリメントに対する反応は、摂取している間だけ持続し、個人差が大きい。(個人にとって)正しい混合物が特定されればこれらの製品がより効果的に作用することを期待して、研究は個別化アプローチに向かっている。(詳細はこちら)  

概要

私たちの消化管に生息する微生物は、健康とウェルビーイングに重要な役割を果たしている。 微生物は消化管全体に存在するが、その大部分は大腸に生息している。 これらの微生物の中で最も研究が進んでいるのが細菌である。 私たちは細菌に生息場所を提供し、その見返りとして細菌は有用な化合物や機能を私たちに提供している (1)

大腸は微生物が密集した生態系である (2)。 微生物と宿主細胞の間には常にコミュニケーションと相互作用がある (3)。この関係のどちら側にも乱れや不均衡が生じる可能性があり、炎症やその他の疾患の発症に繋がり得る (4)

食事だけが腸内細菌叢を決定するわけではないが、その重要性を過小評価することはできない。 私たちの食事の選択は、関連細菌種の数、およびそれらが生成する化合物の存在量に直接影響を与える (5)。したがって、食品選びについて考えるとき、私たちの体のためのエネルギーと栄養素だけが考慮すべき要素ではなく、腸内細菌叢を育てることも重要な要素である。

腸内細菌叢

腸内細菌叢とは、細菌、酵母、古細菌、ウイルスなど、消化管内(主に大腸)に生息する何兆もの微生物のことである。

菌の棲み家

これらの微生物の中で最も研究が進んでいるのは細菌である。 口、胃、小腸、大腸を含む消化管全体に生息している。 その数は遠位へ行くほど増加し、大部分は大腸に生息している(図1(6)

大腸は(1)未消化の食物の塊が溜まり、(2)水分、栄養素、電解質を吸収し、(3)病原体や有害物質に対するバリアを提供する (7)。 (1)腸内細菌叢(生物学的バリア)、(2)粘液層(物理的バリア)、(3)上皮層(物理的・化学的バリア)、(4)免疫系(免疫学的バリア)である(図2(8)

粘液層はさらに2つの層で構成されている。緩い外側の層は、ムチン上に存在する糖鎖構造(グリカン)を分解できる腸内細菌を含み、緻密な内側の層は、ほとんど細菌が存在しない (8-10)。 粘液層の維持は非常に重要である。細菌を大腸上皮から遠ざけておかなければならず、そうでなければ免疫反応が活性化され、炎症につながる可能性がある (11, 12)

図1:腸内細菌叢

[see References for Figure 1]

図2:大腸の内層

[see Reference for Figure 2]

構成

腸内にはウイルス、真菌、古細菌、酵母、その他多くの微生物が存在する (4, 13)。 しかし、腸内細菌叢の生物資源と多様性の大部分を占めているのは細菌で、最も研究されている生物であり、この記事の焦点となる。

私たちは生まれたときから、環境中の細菌によってコロニー形成される。 何の細菌種が残り、去るかは、遺伝的背景・局所的な被ばく(例:家族・ペット・地理的な場所)・外的要因や生活習慣(例:薬や食事の選択)・大腸内環境における微生物相互作用(微生物と宿主細胞、そして微生物同士の相互作用)など、多くの変数によって決定される (4, 7, 14, 15)

私たちにとって最初の暴露は母親によってもたらされており、分娩様式から始まる (2, 15-17)。 経膣分娩で生まれた乳児と帝王切開で生まれた乳児では、その局所的な被ばくを反映して、初期の腸内細菌叢組成が異なる。この組成のばらつきは時間の経過とともに減少し、生後約3年までにはほとんど消失する (2)。 腸内細菌叢の豊かさと多様性における一連の進行性の変化は、生後3年間で起こる (2, 15)。 初期には、ヒトの母乳または粉ミルクというシンプルな食事で、乳児の腸内細菌叢は低い多様性で特徴づけられ (2)、 母乳と粉ミルクにそれぞれ含まれる因子の違いによって、乳児期に選択される細菌種は異なる。ヒトの母乳には難消化性炭水化物(糖鎖)の一種であるヒトミルクオリゴ糖(HMOs)が多く含まれており、ある特定の菌種、特にビフィドバクテリウム属の菌種を選択的に摂取させることによって、乳児の腸内細菌叢の発達を導くと考えられている (18-22)。 またHMOsは、病原体と結合し、免疫細胞に影響を与え、構成要素を提供し、腸管バリア機能を刺激するおとり分子としても働く (18, 21)。ヒトの母乳中には200以上のユニークなHMOsが同定されている。ヒトの母乳中のHMOsの構造と量は非常に変化しやすく、授乳期間中に変化し、母親の遺伝に影響される (21, 22)。大腸粘液層に付着した糖鎖は、一部の細菌に内因性の栄養源を提供することにより、初期のコロニー形成にも関与している可能性がある (19)。 粉ミルクで育てられた乳児の腸内細菌叢は、母乳で育てられた乳児の腸内細菌叢よりも多様であるが、これは腸内細菌が利用できる基質が異なっていることを反映している (22)。 母乳に含まれるHMOsやその他の特徴的な成分を粉ミルクに添加する努力が続けられている (8, 21)。2016年以降、2種類のHMOs (2'-フコシラクトース(2'-FL)とラクト-N-ネオテトラオース(LnNT))の合成に成功し、米国と欧州で粉ミルクへの添加が承認された (18, 21)。これらの添加により、母乳で育てられた乳児で観察されるような典型的なビフィズス菌優位の腸内細菌叢が形成される (21, 22)。欧州食品安全機関(EFSA)は、ラクト-N-テトラオース(LNT)、2'-FL+ジフコシラクトース(DFL)、3'-シアリルラクトース(3'-SL)、6'-シアリルラクトース(6'-SL)などの合成オリゴ糖の添加も承認している (23)。 これらの承認された合成オリゴ糖を乳児用調製粉乳に添加することに関する安全性の懸念はないが、臨床的に関連した利益についての確固とした結論は現時点では出せない (23)

母乳育児を辞めるに伴い、固形食が始まると、乳児の腸内細菌叢の複雑さと多様性が著しく増大する (2, 7, 16, 24, 25)。 より複雑で多様な食事は、細菌代謝の変化と種間の交雑を引き起こし、連続的なコロニー形成を可能にする (24)。 嫌気的環境の確立、利用可能な栄養素の変化、群集の遷移中における微生物間相互作用によって移行が誘発される (24)

細菌の組成は時間とともに多様化し続け、10代で成熟した腸内細菌叢に安定し (15)、腸内には何兆もの細菌が生息するようになる。 腸内細菌叢は、内的・外的変数の変化によってその量が変動するが、最終的にはこの確立されたベースラインに戻る (4)。 私たちはそれぞれ独自の細菌の混合物を持っているが、これらの多種多様な細菌種は5つの主要グループ(図3)に分類され、いくつかの大まかな機能を共有している (機能の記事を参照)。

マイクロバイオームとは、腸内細菌叢の遺伝的内容を指す。 マイクロバイオームには数百万個の遺伝子(比較として、ヒトゲノムには約2万個の遺伝子が含まれている)があり、宿主を補完する、あるいは宿主には存在しないタンパク質や機能をコードしている (26)。さらに、異なる種の細菌が同じ遺伝子をいくつか持っていることもある。したがって、存在する特定の分類群が個体間で異なっていても、腸内細菌叢は共有された中核機能をコードしている可能性がある (27)

図3: 腸内細菌叢の分類についての概要

[see References for Figure 3]

機能

腸内細菌は宿主に様々な影響を与えるが、(1)病原体からの保護、(2)有益な化合物の生産といったこれらの機能が含まれる。

病原体からの保護

健康な腸内細菌叢では、善玉菌種(常在菌)が豊富であるほど病原性菌種の増殖が抑制され、これは定着抵抗性として知られる現象である (1, 28)。 常在菌は病原体の増殖を阻止するために、生育空間や栄養素の制限、毒性物質の生成、pHや酸素レベルの変化、大腸粘液層の支持、宿主免疫反応の誘導など、いくつかの戦略を用いる (1, 7, 9)

例えば、宿主の要因、食事、感染、薬剤の使用などによって、定着抵抗性が損傷されて効かなくなることがあり、その結果、通常は常在菌によって抑えられている日和見菌種が増殖することになる。

有益な化合物の生産

ビタミン類(ビタミンK、ビタミンB群のいくつか)、発酵産物、ホルモン、神経伝達物質、ガス(二酸化炭素、メタン、硫化水素、水素ガス)、その他多くの低分子化合物や代謝産物(腸内細菌叢代謝産物の記事を参照)(29-31) など、様々な化合物が大腸の常在微生物によって生成される。

これらの化合物は局所的および全身的な効果を発揮する。 局所的には、細菌が生成した化合物は大腸上皮の細胞に栄養を与え、その保護粘液層の健全性を維持するのに役立つ (7, 12)。大腸内分泌細胞(L細胞)は、様々な細菌によって活性化されるレセプターを発現し、主要な消化管ペプチドやホルモンの分泌を誘導する(腸内細菌叢代謝産物の記事を参照)(32)

宿主細胞を助けるだけでなく、常在菌は栄養素やその他の化合物の変換(シントロピーと呼ばれるプロセス)を通じて、他の有益な微生物の増殖を促進する (19, 28)。 全身的には、細菌由来の化合物は血流やリンパに吸収され、体内の他の部位に移動する (28)。 代謝産物は、肝臓、褐色・白色脂肪組織、骨格筋、血管、中枢神経系などの細胞受容体と相互作用し、シグナル伝達経路を活性化または阻害することで、宿主の健康に影響を与える (7, 32)

健康な腸内細菌叢

正常で平均的な健康な成人の腸内細菌叢の構成は定義されていない。 しかし、一般的に偏性嫌気性細菌  (14, 32) が優勢で、高い多様性を特徴とする (1)

常在菌VS病原体

健康な宿主では、腸内常在菌が病原性共生生物(特定の条件下で病原性を示す細菌種)よりも優勢である (1). ほとんどの常在菌は偏性嫌気性細菌である (9). 特定の基質(特に多様な植物由来の難消化性炭水化物 [NDCs] )、低いpH、無酸素条件を好む。 これらの条件を満たすことで、常在菌は増殖し、病原体や病原性共生生物に打ち勝つことができる。

病原体や病原性共生生物はほとんどが通性嫌気性細菌であり、通常、その数は常在菌によって抑制されている (1)。 病原体は、常在菌にはない独特の代謝経路を発現したり、腸内炎症を誘発する毒素を生成したり、病原菌自体が炎症から利益を得たりと、常在菌よりも増殖優位に立つために様々な戦略を用いる (1)

腸内細菌叢の多様性

多くの種を含む(すなわち多様性の高い)群集は、撹乱に直面してもより安定し、回復力がある (3, 4)。 腸内細菌叢は、短期的なものもあれば長期的にわたるものもあり、日々外的な課題に直面している。 例えば、食事パターンの変化、病原体への感染、薬の使用(特に抗生物質)などである (3, 4)

多様な細菌種は、多様な機能を提供するだけでなく、機能的なポテンシャルを向上させることにも繋がる。つまり、一部の細菌は、有益な菌株の損失を補い、撹乱に直面すると失われる可能性のある機能や代謝産物を提供することができる (4, 33)。その結果、腸内細菌叢は撹乱が起こる前の状態に回復することができ、この現象はレジリエンス(柔軟性)として知られている (3, 4)

特定の食事パターンや生活習慣に関する因子は多様性の増加と関連している(食事パターンの記事を参照)。一方で複数の疾患状態は腸内細菌叢の多様性の減少と関連している (1, 34)

腸内細菌叢の代謝産物

小腸は栄養素を消化吸収するのに非常に効率的であるが、食物の中には難消化性(ヒトはそれを分解するのに必要な酵素を持たない)のものや、消化を逃れて大腸に到達するものもある (32)。 この難消化性物質や未消化物質は、腸内細菌の基質となる。

大腸に到達する基質には、難消化性の複合糖質(食物繊維や糖鎖など)、一部のタンパク質やアミノ酸、胆汁酸、ファイトケミカルなどがある。 細菌の酵素はこの未消化物質に作用し、様々な低分子化合物、すなわち代謝産物を生成する。 微生物の代謝産物は、宿主に吸収され、血液やリンパ液を経由して他の部位に移動するため、腸内だけでなく体内の他の部位にも影響を及ぼす (32)

微生物の代謝産物には、エネルギー基質や必須補酵素として利用される直接的な作用と、宿主の様々な受容体と相互作用し、数多くの細胞シグナル伝達経路に関与する間接的な作用がある (27, 28)

短鎖脂肪酸

食物繊維は多様な難消化性炭水化物(NDCs)のグループであり、植物に内在してそのまま存在するもの(食物繊維の記事を参照)、あるいは単離されたり化学合成されたりするもの(FDAによる食物繊維の定義)である。 常在菌は水溶性食物繊維を好み、これを細菌発酵させることで短鎖脂肪酸(SCFAs)を生成する。 生成される主なSCFAsは酢酸、プロピオン酸、酪酸であるが、ギ酸、乳酸、コハク酸など、他にも多くのSCFAsが生成される (31)。 大腸内におけるSCFAsの割合は、食事(基質を提供する必要がある)や腸内細菌叢の構成(SCFAsを生成できる細菌種が存在する必要がある)によって変化する (34, 35)

多くの研究が、腸管バリア機能と定着抵抗性に主要な役割を持つ酪酸に焦点を当てている。 酪酸は、いくつかのメカニズムによってこの機能を実現している (4, 9, 27, 28, 32, 36)

  1. 大腸細胞に栄養を与える: 酪酸は大腸細胞の成長と増殖に必須で好ましいエネルギー源であるため、大腸バリアを構成する上皮細胞の健康な単層を支える。
  2. 嫌気状態の維持を助ける: 大腸細胞による酪酸のミトコンドリアβ酸化は酸素濃度を低下させ、嫌気的環境を作り出し、それによって偏性嫌気性細菌の繁殖を助ける。
  3. 病原体が使用する基質を制限する: 酪酸は転写因子PPAR-γと相互作用し、誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)の抑制を引き起こす。その結果、一酸化窒素の生成が減り、最終的に通性嫌気性細菌が利用できる硝酸塩の量が減少する。
  4. 炎症を抑制する:酪酸塩は普遍的に発現する転写因子NF-κBの活性化を阻害し、大腸細胞や免疫細胞による炎症を促進するサイトカインやケモカインの生成を防ぐ。

大腸バリア機能の維持だけでも、SCFAを生成する菌にとっては非常に重要な役割である。 それでもなお、SCFAはシグナル伝達分子として、またグルコースや脂質の代謝経路に取り込まれる基質として、大腸内でも離れた場所でもさらなる有益な効果を発揮している (7, 27, 36, 37)。例えば、SCFAsは大腸内分泌細胞(L細胞)や全身の幅広い組織や細胞型の表面に発現しているGタンパク質共役型受容体(GPCRs)と結合する (32)。 大腸のL細胞では、SCFAとGPCRsとの相互作用により、消化管ペプチド(GLP-1、GLP-2、ペプチドYY)の分泌が刺激され、これによってグルコース依存性インスリン分泌が改善し、食欲が抑制され、腸管の通過速度が遅くなる (7)

血液循環に吸収されたSCFAs、特に酢酸とプロピオン酸は、肝臓と骨格筋で酸化され、食欲調節に関与している可能性がある (7, 36, 37)。 さらに、多くの腸炎症性疾患は、SCFAsを生成する細菌種の減少に関連している (4, 32, 35)

アミノ酸誘導体

摂取量や化学構造に応じて、一部の食事由来のタンパク質は消化を逃れて大腸に到達する (6, 32)。 さらに、剥がれ落ちた腸細胞やその内容物の代謝に由来するタンパク質は、腸内細菌の基質となる。 タンパク質の発酵により、アンモニア、アミン、N-ニトロソ化合物、フェノール化合物、インドール化合物、分岐鎖アミノ酸が生成される (6)。 タンパク質から生成される微生物の代謝産物には有益なものもあれば、有害なものもある。

腸内細菌はトリプトファンからインドールやインドール誘導体を生成する (27, 28, 35)。 インドールは、リガンド活性化転写因子である芳香族炭化水素受容体(AhR)と相互作用し、炎症からの回復・異物代謝・病原体のコロニー形成からの保護・バリア機能などに関与する遺伝子を誘導する (35)
また、腸内細菌はグルタミン酸から、γアミノ酪酸(GABA)を生成することができる。γアミノ酪酸は、腸における痛みの媒介や中枢神経系における気分の調節に関与する神経伝達物質である (28)

食事性因子

特定の食事性因子を発酵させると、毒性のある化合物が生成される (4)。 食事由来のコリン、ホスファチジルコリン、カルニチン、ベタインを細菌が発酵させると、トリメチルアミン(TMA)として知られる化合物が生成される (34, 38, 39)。 TMAは肝臓に運ばれ、そこで酵素的にトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)に変換される。 TMAOは血漿中を循環し、通常は腎臓から効率よく排泄される (40)。 しかし、血漿中のTMAOの増加は、おそらくマクロファージのコレステロール蓄積と泡沫細胞形成を増加させることにより (38, 39)、動脈硬化や心血管系疾患のリスク増加と関連している (39)

注目すべきことに、TMAOの前駆物質(赤身肉、卵、魚に含まれる)にさらされたときに生成されるTMAOの量は、その人の細菌群集に影響される可能性がある。 TMAを生成するためには、特定の細菌種が存在しなければならない (34, 38)。また、TMAを消費、解毒、または有益なシグナルに変換する細菌種の存在も、個人によって異なる (32)。 結局のところ、TMAOの血漿中濃度は、その前駆体となる食事由来の供給源、腸内細菌叢、腎機能、その他多くの宿主因子など、多くの変数によって決定される。

二次胆汁酸

胆汁酸は食事性脂肪の消化・吸収を助ける。 腸内胆汁酸の約95%は小腸回腸で再吸収され、肝臓に戻って再分泌される。 ごく一部の胆汁酸だけが、この非常に効率的なループを抜け出し、大腸に到達する (32, 35)。 これらの一次胆汁酸は腸内細菌によって修飾され、二次胆汁酸が形成される。 デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸が最も一般的な二次胆汁酸である (32, 35) が、その他にも何百種もの二次胆汁酸が存在する。

二次胆汁酸は、炎症と病原体の過剰増殖を抑制するのに役立つ (35)。 作用機序としては、

  1. ファルネソイドX受容体(FXR)と結合する。FXRは抗菌ペプチドの発現を誘導し、炎症性転写因子NF-κBを阻害するリガンド活性化転写因子である。
  2. 大腸細胞表面の膜貫通型Gタンパク質共役型受容体(GPCRs)と結合し、密着結合(タイトジャンクション)を増強するシグナル伝達カスケードを誘導する。
  3. 病原体膜の健全性を損傷することによる直接的な抗菌作用などが含まれる (35, 42)

しかし、二次胆汁酸はその濃度、疎水性のレベル、抱合状態によって、肝臓や消化管の宿主細胞に悪影響を及ぼし、細胞を損傷する可能性がある (43)。 その結果、炎症性腸疾患や非アルコール性脂肪性肝疾患、肝臓・食道・大腸のがんと二次胆汁酸との関連性が認められているが、これらの疾患の確立と進行における胆汁酸の潜在的な役割についてはまだ研究中である (43)

ファイトケミカル

ファイトケミカルは、健康上の利益をもたらす可能性のある、植物性化合物のグループである(ファイトケミカルの記事を参照)。 ファイトケミカルは、非常に大きく多様な化合物のグループを包含しており、一つの食品に何百ものファイトケミカルが存在することもある。

ファイトケミカルの1つであるポリフェノールは、細胞シグナル伝達経路や転写因子を調節することにより、幅広い抗炎症作用や抗酸化作用を発揮することで知られている(フラボノイドの記事を参照)(35)。 このクラスには、フラボノイド・フェノール酸・リグナン・スチルベン・クルクミノイド・クマリン・タンニンなどが含まれる (35)。 多くの食事性ポリフェノールは吸収率が低いため、標的組織との相互作用が制限されるものの、腸管腔にとどまるポリフェノールは、大腸に到達して腸内細菌と相互作用する可能性がある (35)

優勢な4つの門(バチロータ門、バクテロイデス門、放線菌門、シュードモナドータ門;図3)の細菌種は、ファイトケミカルを代謝する酵素を持っている (44)。 脱グリコシル化・脱メチル化・脱水素化・異性化・脱炭酸化などの酵素反応により、ポリフェノールは多くの誘導体に変化する (35, 44)

主にin vitro(試験管内)および動物実験に基づくと、ポリフェノール代謝産物は腸内でいくつかの有益な効果を発揮する可能性がある:

  1. 有益な細菌の増殖を選択的に促進する(すなわちプレバイオティクス効果)
  2. 病原性微生物に対して特異的に抗菌効果を発揮する(細胞壁の付着、DNA複製因子の結合、バイオフィルムの破壊、必須栄養素のキレート化などを通して)
  3. NF-κBを阻害する。NF-κBは不偏的に発現する転写因子で、多くの炎症促進性遺伝子を誘導する (35)

しかし、それぞれの人が持っている腸内細菌叢は異なる。異なるファイトケミカルから分解生成物を生成するためには、それぞれ特定の細菌種が存在しなければならない (44, 45)。したがって、腸内細菌叢組成の個人差は、生成されるファイトケミカル誘導体の形態や量に影響を及ぼす可能性がある。

大腸や肝臓の細胞内では、ファイトケミカルの代謝産物がチトクロームP450(CYP)ファミリーの酵素と作用し、第一相および第二相変換反応を媒介する (45)。 CYPファミリーの酵素活性には遺伝的変異が多く、非機能的なものから機能的な能力の高いものまであり、もう一つの複雑さを表している(45)

腸内細菌叢の組成と機能を変える戦略

食事

私たちが食べたものは、腸内に生息する微生物の量と活動に影響を与える。

組成 / 存在量

食事の大きな変化に反応して、細菌量は急速に変化する。 例えば、ヒトを対象とした研究では、食物繊維をほとんど含まず全体的に動物性の食事と、食物繊維を適正摂取量(AI)の2倍以上摂取できる植物性の試験食を摂取した場合、2日以内に微生物組成が変化し、それぞれの食事パターンに特徴的な細菌群が現れるようになった (46)。 試験食を中止すると、微生物組成はすぐに元の状態に戻った (46)。 他の食事介入、例えば特定の食物繊維を1日あたり30g以上添加した場合 (47)や、高繊維食または低繊維食を10日間続けた場合(48)も同様である。 全体的にみて、変化した腸内細菌叢組成を維持するためには、常に食事から基質を供給し続ける必要がある (5, 49)

生成された代謝物 / メタボローム

食事由来の基質は、細菌の成長と増殖に影響を与えるだけでなく、これらの細菌が生成するものにも強く影響する。腸内細菌叢の代謝によって生成される分子化合物質の集合体をメタボロームと呼ぶ。

細菌の代謝物生成に対する食事の影響については、主に2つの見解がある。
1つめは、食事介入に反応して細菌の組成が変化しなくても、生成される代謝物が変化し得るという見解である (50)。 2つめは、基質の供給は必要だが、代謝物の生成を制御するためには十分ではない。すなわち、特定の代謝産物を生成するためには、特定の細菌が存在しなければならないという見解である (34)。 菌体によっては「制限的な」群集構造を持つ場合があり、特定の食品を摂取しても特定の代謝産物を生成することができない (34)。 例えば、発酵性の炭水化物を補給してもSCFAsの生成を増加させることができない菌体もいる (34)。 大豆イソフラボンの摂取に伴うエクオールの生成についても、同様のことが認められている(大豆イソフラボンの記事を参照)。 これは、与えられた基質を分解するのに必要な活性を持つ特定の細菌種が存在しないためかもしれない (34)

したがって、どの代謝物が生成されるかは、食事由来の基質と存在する腸内細菌の両方が決定因子となる。

食事パターン

いくつかの研究では、植物性由来の長期摂取は細菌の多様性とSCFAs生成量の増加と関連していると報告されている (5, 31, 34, 51)。 植物性食品の定期的な摂取は常在菌の多さと関連しているが、加工食品や動物由来食品(魚を除く)の摂取は日和見菌の多さと関連している (52)。 さらに、多様な食事、特に摂取する植物性食品の種類が多いことは、腸内細菌の多様性が高いことと関連している (5, 53)。 『アメリカ人のための食生活指針』の推奨事項に従うことも、腸内細菌の高い多様性や食物繊維を分解できる微生物が豊富であることと関連している (54)

宿主と腸内細菌叢の関係において、難消化性炭水化物(NDCs)は重要な役割を担っている。 数多くの食事性炭水化物は、ヒトの小腸で消化されにくい。これはヒトが分解に必要な酵素を持たないか、(酵素が炭水化物の)内部の化学結合にアクセスできないためである(食物繊維の記事を参照)。

一方、腸内細菌叢は何千もの糖質関連酵素(CAZymes)を発現しており、様々な複合糖質を標的としている (20, 31)。 NDCsは小腸での消化を免れて大腸に達し、腸内細菌叢の主要な基質となる。 水溶性食物繊維、糖鎖およびレジスタントスターチは、このNDCsの大きなカテゴリーに分類される。これらは、構成糖分子間の結合の種類がわずかに異なるために、それぞれ異なる構造を持っているが、いずれも腸内細菌叢による発酵の重要な基質となる。

NDCsの摂取量が少ないとSCFAsの生成が減少し、腸内細菌叢の代謝において、あまり好ましくない栄養素(大腸粘液層の糖鎖を含む)を利用するように変化する (51)。欧米型の食事(食物繊維の少ない食事、飽和脂肪の高い食事、砂糖、加工食品)は大腸粘液バリアを劣化させ、病原体感受性や炎症の一因となることを蓄積された証拠が示している (10, 11, 31, 51, 55)

全体として、難消化性炭水化物(発酵性食物繊維、糖鎖、レジスタントスターチ;食物繊維の記事を参照)が豊富で、マクロ(三大栄養素)および微量栄養素を十分に摂取し、多様な植物性食品を摂取する食事は、腸内細菌の高い多様性と関連があり、健康に有益であると考えられている (4, 5, 31)。腸内細菌叢の豊かさとそれらによる有用物質の生産に影響を及ぼすには、長期的かつ習慣的に食生活を変えていくことが必要である (5, 49)

プロバイオティクス

プロバイオティクスとは生きた微生物のことで、適切な量を投与することで宿主に健康上の利益をもたらす (56)。 多くの発酵乳製品にはプロバイオティクスが含まれており、その他の摂取源としては、発酵食品や栄養補助食品がある。 調理や加熱によって微生物が死滅することもあるため、加工は生きた微生物の量に影響を与える可能性がある。

市販されているプロバイオティクスは、一般的に乳酸菌やビフィズス菌を含んでいるが、プロバイオティクスの潜在的な候補として、より多くの細菌種が特性を見出されつつある (27, 57)。 これらの細菌は通常、腸内に一時的にしか留まらないため、定期的な摂取が必要であることを覚えておいてほしい。

プロバイオティクスの効果は、菌株および用量に依存する (56)。 菌株とは、同じ種に属するが、同じ種の中で他には見られない特定の遺伝的特徴を共有する生物群のことである。 プロバイオティクスの有効量は臨床試験を通じて決定され、プロバイオティクス製品の賞味期限まで十分な数の生きている微生物が含まれることを意味している (58)。 このような特性があるため、製品にはそこに含まれるプロバイオティクスの属・種・株・有効量を表示する必要がある(the International Scientific Association for Probiotics and Prebioticsのインフォグラフィックを参照)。

細胞培養、組織抽出物、動物モデル、ヒトを対象とした研究では、プロバイオティクスが免疫機能の調節、病原体に対する拮抗作用(病原体の付着・凝集の減少、栄養素や宿主細胞での結合部位の競合、抗菌化合物の生成など)、有益な代謝産物の生成、局所環境の変化(pHの低下)、酵素機能の提供など、様々なメカニズムを通じて作用することが実証されている (57, 59, 60)

異なるプロバイオティクスの菌株によって、様々な効果が認められている。これらの効果を得るためには、特定の菌株を特定の用量で使用する必要がある (58, 61)。 臨床試験のシステマティックレビューとメタアナリシスから得られたデータを総合すると、プロバイオティクスは、急性下痢の治療、抗生物質関連下痢やクロストリジオイデス・ディフィシル(C. difficile)腸炎の発症率の低下、母乳で育てられた乳児の疝痛治療、乳糖不耐症の症状管理など、いくつかの臨床試験での調査終了点に有効である可能性が示唆されている (58)。 成人(62)および小児(63)において、抗生物質関連下痢の期間を短縮するために抗生物質療法とともにプロバイオティクスを使用することについては、中程度の科学的根拠が存在する。 しかし、一般的に、健康な成人がプロバイオティクスを毎日摂取すべきことを示唆する十分な証拠はない (64)

プロバイオティクスの反応や影響には多くの変数が影響する:個人差(健康状態、ベースラインの腸内細菌叢、遺伝的背景など)、細菌が共に機能する際に必要となり得る協同種や組み合わせの存在(栄養共生)、プレバイオティクス60の併用など。 さらに、プロバイオティクスを添加する前に、リスクの高い集団(慢性疾患や重篤な疾患を持つ人々、免疫不全の人々、早産児)における安全性を考慮すべきである (65, 66)

生きた微生物を含む食品

生きている微生物を多く含む食品は通常発酵食品である。 すべての発酵食品が生きた微生物を保持しているわけではないが(例えば、サワードウパン)、生きた微生物を保持している発酵食品であっても、必ずしもプロバイオティクスとして適格であるとは限らない (67)。 プロバイオティクスは、菌株レベルまで特定され、ヒトを対象とした対照試験で健康上の有益性が実証され、有効性が示された用量で投与されなければならない。 すべてのプロバイオティクスに対する一般的な用量を特定することはできない。 発酵食品の場合、微生物は菌株レベルまで定義されていない可能性があり、健康上の有益性が示されていない可能性がある。

生きた微生物を含む食品(発酵食品を含む[記事:腸の健康(概要)を参照])の摂取量が多いほど、様々な健康指標(例えば収縮期血圧・ C反応性タンパク質・血漿グルコース・血漿インスリン・トリグリセリド・HDLコレステロール・ウエスト周囲径・肥満度指数など)の改善に繋がる (68)。 しかしながら、食品は複雑な物質の混合物であり、生きた微生物の寄与を、食品マトリックスやマクロ栄養素(三大栄養素)、微量栄養素、その他の食事要因の寄与と明確に区別することはできない (68, 69)。 それでも、安全な生きた微生物を含む食品を毎日取り入れるという食生活指針への更新は検討すべき事項である (70)

プレバイオティクス

プレバイオティクスは、宿主微生物によって選択的に利用され、健康上の利益をもたらす基質である (71)。 プレバイオティクスは、投与されたプロバイオティクスと常在菌の両方を含む、特定の有益な腸内細菌の増殖と代謝活性を促進する (57, 71)

プレバイオティクスには、オリゴフルクトース、イヌリン、フラクトオリゴ糖などの特定の水溶性食物繊維が含まれる。 さらに、糖鎖・レジスタントスターチ・ファイトケミカル・多価不飽和脂肪酸・共役脂肪酸・オリゴ糖など、いくつかの物質がプレバイオティクスとして研究されている。 難消化性炭水化物(NDCs)は大腸の微生物増殖の主な基質である (4)。 NDCsが制限されると、細菌は食事からの代替エネルギー供給源に頼るか、大腸粘液層に存在する宿主の糖鎖を分解するようになる (4, 19)

最も広範に試験され、プレバイオティクス効果が確認されている2つの化合物は、イヌリン型フルクタン(ITF)とガラクトオリゴ糖(GOS)である (60, 71)。 ITFとGOSはいずれも、プロバイオティクスとしても利用可能な細菌群であるビフィズス菌と乳酸菌の数を選択的に増加させる (31)。 ITFは、ネギ、アスパラガス、アーティチョーク、ニンニク、タマネギ、チコリ、小麦ふすま、青バナナ、大豆など、いくつかの食品に自然に含まれている。 豆類はGOSの良い供給源である。 一般的に、多様な植物性食品を摂取することで、様々なプレバイオティクス化合物を摂取できる可能性が高い。

プロバイオティクスと同様、プレバイオティクス成分が腸内細菌叢に与える影響は一時的なものである。 微生物組成の変化は、曝露後24時間以内で急速に起こり、プレバイオティックな化合物を除去すると同様に急速に消失する (51)。 さらに、プレバイオティクスに対する応答は非常に個人差があり (34, 51)、初期の腸内細菌叢組成に依存する (31)

ポストバイオティクス

ポストバイオティクスは、宿主に健康上の利益をもたらす無生物微生物および/またはその成分の製剤である (72)。 ポストバイオティクスは、不活性化された微生物細胞または細胞成分を含まなければならず、前駆微生物の増殖中に生成された微生物代謝産物を含んでいても含まなくても良い (72)

生存していない細菌成分の役割は、動物モデルやin vitroモデルで証明されている (27)。例としては、Akkermansia muciniphilia由来の耐熱性外膜タンパク質は、マウスの腸管バリア機能を改善すること(73)や、A. muciniphiliaの細菌培養の上清は、in vitro(試験管内)で抗炎症性を有する可能性があること (74)、および加熱死菌のLacticaseibacillus paracaseiは、in vitroで免疫細胞によるサイトカイン分泌に影響を与えること(75)が挙げられる。 ポストバイオティクスの健康効果は、プロバイオティクスに特徴的なメカニズムを介して作用するようであるが (76)、ポストバイオティクスでは代謝活性や細胞の活性を必要とする他のメカニズムも当然不可能である。 作用機序としては、常在微生物の調節、上皮バリア機能の増強、局所的・全身的免疫応答の調節、全身の代謝反応の調節、神経系を介した全身のシグナル伝達などがある (72, 76)

全体として、ポストバイオティクスは、プロバイオティクスの有益な効果の一部を模倣しているように見えるが、一方で、-感染症のリスクを持っている人々に生きている微生物を投与するというリスクを回避できる可能性がある (76-78)。 ポストバイオティクスの感染性は心配ないが、他の生物活性剤と同様に、ポストバイオティクスも安全性を評価しなければならない。 ポストバイオティクスの有効性に関する研究は、まだ始まったばかりである。

結論

健康な腸内細菌叢の平均的な構成はまだ定義されていない。 しかし、健康な腸内細菌叢の特徴としては、多様性と常在菌種(偏性嫌気性細菌)の優位性が挙げられる。 食事や生活習慣の選択は、どの細菌種が繁殖し、何を生成するかに影響する。 その結果、大腸やその他の器官系の健康に影響を及ぼすことになる。

食べるものを決める際には、それは身体へのエネルギーや栄養素についてだけでなく、腸内細菌叢に与えるものについても決めていることになるのだ。

これまでの腸内細菌叢の構成に関係なく、以下の同じ指針が適用される。

  • 既存の食事ガイドラインに従う。
  • 様々な種類の植物性食品(果物、野菜、全粒穀物、豆類、ナッツ類、種子類)を食べる。
  • 食物繊維を摂る。 現在、米国で推奨されている成人の摂取量は1日あたり25~38g、日本では女性は1日あたり18g 、男性は21g である。 実際には、ほとんどの人はかなり少ない量しか食べておらず、この推奨量は既に低すぎるという意見もある。
  • 長期的、習慣的な食生活の改善が必要である。

腸内細菌叢についてさらに解明が進めば、ガイドラインの幅も広がるかもしれない。 例えば、安全で生きた微生物が含まれる食品(発酵食品など)を毎日取り入れ、腸内細菌叢の構成に基づいた個人別の推奨が可能になるかもしれない (31, 40, 70)。より多くの科学的な情報が待たれる中、既存の食事ガイドラインに従うことで、我々の身体にとっても、我々と共存する微視的生物にとっても良い枠組みが確立されることは朗報である。


Authors and Reviewers

Written in May 2024 by:
Giana Angelo, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Reviewed in July 2024 by:
Mary Ellen Sanders, Ph.D.
Mary Ellen Sanders, LLC
Probiotics Consulting
Centennial, CO

Reviewed in October 2024 by:
Hannah D. Holscher, Ph.D., R.D.
Associate Professor of Nutrition
University of Illinois Urbana-Champaign

This article was underwritten, in part, by a grant from Amway.

Copyright 2024-2025  Linus Pauling Institute

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